HPコラム

【解説】クリニックのHP制作の費用相場と内訳について

By 2026年7月28日No Comments

こんにちは、クリニックWeb総合研究所代表の濱谷です。
今回のテーマは「クリニックのホームページ(HP)制作にかかる費用の相場と内訳」についてです。

クリニックのホームページ作成を検討している院長からよく聞くのが、「見積もりが50万円〜300万円以上と幅が広すぎて、どれが適正なのか判断できない」というお悩みです。
HP制作の費用はページ数だけで決まるわけではなく、原稿・写真撮影・SEO対策(検索結果で上位に表示させるための施策)・公開後の保守まで、どこまで含めるかによって総額が大きく変わります。
さらに言えば、同じ「10ページ」であっても、患者を予約や問い合わせへ導くための設計やコンテンツの濃さが違えば、得られる成果は別物になります。

なお本記事は、内科や整形外科といった保険診療を中心としたクリニックを想定しています。美容クリニックはブランディングや広告に費用を厚く配分する傾向があり、費用構造がやや異なるため、その点だけ先にお伝えしておきます。

そこで本記事では費用相場だけでなく、内訳・追加費用・月額運用費までまとめて整理した上で、見積チェック表とRFP(要件定義シート:発注前に「作ってほしい内容」をまとめた依頼書のこと)を用意し、院長が複数社を「同じ条件で比較」できる状態まで落とし込んでいきます。

クリニックのHP制作費用はいくら?相場の全体像

結論からお伝えすると、クリニックのホームページ制作費用は「要件(何をどこまで作るか)」で決まります。
30万円から300万円超まで幅が出るのは、作る範囲と運用の含め方が会社ごとにバラバラだからです。
つまり、まずは「その金額に何が含まれているか」をそろえて、同じ条件で比べられる状態をつくることが出発点になります。

相場の目安(要件別)

ざっくりとした目安は次のとおりです。

要件レベル費用の目安内容イメージ
簡易30〜50万円テンプレート中心の最小構成
標準50〜120万円オリジナルデザイン+原稿・撮影支援
機能・運用込み120〜200万円以上大規模、機能充実、デザイン盛り盛り、多院展開など

ページ数、オリジナルデザインかどうか、公開後の運用支援が含まれるかどうかで上下します。

相場の幅が広い3つの理由

相場の差は、ひとことで言えば「工数(作業にかかる手間と時間)」の差です。具体的には次の3つが主因になっています。

①ページ数
②作り込み(デザインや機能の充実度)
③運用支援

①ページ数

ページが増えるほど、設計・実装・チェックの作業が増え、費用が上がります。

最小構成として用意したいページの例

・トップ
・診療案内
・初めての方へ(または初診案内)
・医院紹介
・医師紹介(可能であればスタッフも紹介)
・アクセス
・予約
・掲示事項(施設基準・加算等)

②作り込み(デザインや機能の充実度)

オリジナル度が高いほど、また機能を充実させるほど時間と費用がかかります。

③運用支援

見落とされがちなポイントですが、SEO対策や更新代行、改善提案まで含むと、初期費用だけでなく月額費用も発生します。
HPは作ったら終わりではないため、だからこそ、見積もりは「初期費用」だけでなく、公開後の運用まで含めた総額で判断することが効果的です。

依頼先×規模の相場早見表

依頼先の種類と規模を掛け合わせると、おおよそのレンジは次のように整理できます。

依頼先\規模5〜10P(最小)〜20P(標準)多院・多言語・機能増
フリーランス20〜60万円50〜120万円100万円〜(要件次第)
中堅制作会社40〜90万円80〜160万円150〜300万円〜
医療特化の制作会社50〜120万円100〜200万円200〜400万円〜
大手制作会社80〜150万円150〜300万円300万円〜

※あくまで目安です。レンジは要件により変動します。ページ数、撮影の有無、原稿支援、運用範囲でも上下します。

【結論】保険診療のクリニックでの、現実的な費用の目安は?

ここまで幅広いレンジを示してきましたが、「で、結局うちはいくらを目安にすればいいの?」というのが院長として気になるところだと思います。
一般的な保険診療のクリニック(1院・単科〜2科程度)に絞って、率直な目安感をお伝えします。

狙いどころの目安:初期費用50〜120万円程度

10P未満の最低限の機能の小規模サイトであれば50〜120万円程度が個人的に考える目安です。
ただし、こちらはあくまで目安であり、実装する機能やコンテンツ量等によって、また誰に依頼するのか(価格をとってフリーランスに依頼するのか、安全性をとって制作会社に依頼するのかなど状況によって必要になる金額の目安は大きく変わります)
この帯であれば、オリジナルデザイン・写真撮影・原稿支援・WordPress設計・基礎的なSEO内部施策まで含めることができ、公開後に「育てられるサイト」としてのスタートラインに立てます。

保険診療のクリニックは美容系と違い、1人あたりの診療単価がそこまで高くありません。
そのためHPにかけた費用を集患で回収するには、この価格帯で「中身のしっかりした土台」を作り、公開後にコンテンツを積み上げて検索流入を増やしていく形が現実的です。

割高に感じやすいライン:初期費用150万円を超えるあたり

よほど機能的で複雑な要件がなかったり、比較的一般的な規模のクリニックのサイトにもかかわらず初期費用が150万円を超えてくる場合は特に、「その差額分は具体的に何の工数なのか」を細かく確認したほうがよいです。
ディレクション費やデザイン案の提出回数が過剰に積まれていたり、実際には使わない機能が含まれていたりすることがあります。

ただし、ここで言う「目安」はあくまで初期費用だけの話です。
月額の運用費を含めた総額で見なければ本当の比較はできません。
たとえば初期80万円+月額1万円と、初期50万円+月額3万円を比べると、一見安く見える後者のほうが長期的には結局高くつきます。
初期費用の安さだけに引っ張られず、「この月額で何をどこまでやってもらえるのか」をセットで確認することが、費用を最適化するうえでの基本になります。

HP制作の依頼先はどこにするのが良いか?

では、次にHPを依頼する場合は、どこに依頼するのが良いかについて話します。

依頼先別の特徴

ホームページの制作費用を比較するときは、価格だけでなく「体制」と「リスク」まで含めて選ぶと、結果的に費用を抑えやすくなります。
というのも、たとえば「医療広告ガイドライン(医療機関の広告表現に関する国のルール)に沿った表現チェック」や「公開後の更新対応」まで含めて考えると、単に安いだけの選択は後から行き詰まりやすいためです。

フリーランス:価格は抑えやすい一方で、対応範囲や品質、稼働が担当者個人に依存するため、何かあった時の対応や品質レベル等は制作会社と比べて基本的には不安定となります。

中小・中堅制作会社:フリーランスと比べると価格は上がる分、進行管理やサポートは安定しており、標準的な品質を取りやすいのが特徴です。

医療特化の制作会社:医療広告ガイドラインや表現上の地雷を避けることに強い傾向があります。その他制作会社と比べてやや高額になりやすいのは、クリニックHP制作の勘所や提案の幅に付加価値があるためです。

大手制作会社:要件が重い案件に強いですが、予算は上がりやすくなります。

【結論】保険診療クリニックには、どの依頼先が合うのか

率直に言えば、保険診療メインで1院・単科〜2科程度の一般的なクリニックであれば、「医療特化の制作会社」か「クリニック実績のある中堅制作会社」のどちらかが現実的な選択肢になります。
(ただし、費用をどうしても抑えたい場合などは、クラウドソーシングのサイト等でフリーランスにHPの作成を依頼するのも方法の1つです。)

まず医療特化の制作会社は、やはりクリニックHP制作の場数を踏んでいるだけあって、院長が気づいていなかった導線の改善提案や、医療広告ガイドラインに配慮した表現チェック、貴院のクリニックに適したHP構成提案まで含めてカバーしてくれることが多いです。
費用は中堅よりやや上がりますが、先ほどお伝えした50〜120万円の帯に収まるケースも多く、「制作中に何度も指示出しや確認をしなくて済む」という意味では、院長の時間的コストまで含めると割高とは言い切れません。

一方、中堅制作会社も十分に有力な選択肢です。
ただし、同じ「中堅」でも医療分野の経験値には差があります。
過去にクリニックのHPを手がけた実績があるかどうかを確認し、ある場合はその制作事例を見せてもらうことが効果的です。

フリーランスと大手について

フリーランスは費用を抑えやすい反面、担当者が1人のためその方の体調やスケジュール変動がそのままリスクになります。また、医療広告ガイドラインの知識を持つフリーランスはそこまで多くないため、表現チェックや公開後の保守まで含めて考えると、結局クリニック側の負担が大きくなるケースがあります。予算がどうしても厳しい場合は選択肢に入りますが、その場合もクリニックの制作実績と保守体制は必ず確認しておくことが望ましいです。

大手制作会社は、分院展開や多言語対応、大規模な予約システム連携など要件が重い案件には向いていますが、1院の保険診療クリニックにとっては体制が大きすぎることが多いです。大手の進行管理の厚さは魅力ですが、同じ費用を払うのであれば中堅や医療特化のほうが「クリニックに必要な中身」に予算を集中させやすい傾向があります。

 

まとめると、「まず医療特化を候補に入れ、そこにクリニック実績のある中堅を加えて相見積もりを取る、予算感がどうしても合わない場合はフリーランスへの依頼を検討する」という進め方が、保険診療クリニックにとっては外しにくい選び方です。

見積もりの内訳|どこに費用がかかるのか

見積もりを見て「結局どれが適正なのかわからない」となるのは、似たような金額であっても、ディレクション(制作全体の進行管理)の範囲や原稿支援の有無によって中身がまったく異なることが多いからです。
こういうときは、まず「作業」を項目ごとに分解してみると判断しやすくなります。

特に注意したいのが、見積書に「一式」とだけ書かれているケースです。一式が多い見積もりは、その中身を質問で分解できるかどうかが見極めのポイントになります。

基本項目(ディレクション・デザイン・コーディング・CMS)

基本費用の中心は「ディレクション費」です。
ここが厚い会社ほど要件定義や品質管理に時間を割いていることが多く、逆にここが薄いと途中で要件が揺れたり、公開後に「想定外」が発生したりしやすくなります。

ディレクション費:制作全体を取りまとめる費用です。打ち合わせ回数、議事録の作成、品質チェックの範囲によって変動します。

デザイン費:ホームページの見た目をつくる費用です。オリジナル度の高さやページごとのデザインパターン数で増えます。

コーディング費:デザインをWebページとしてブラウザ上に表示できるようにプログラムを組む作業の費用です。スマホ最適化(スマートフォンで見やすいように調整すること)や表示速度の改善で工数が増えます。

CMS(コンテンツ管理システム)構築費:WordPressなど、専門知識がなくてもホームページの内容を更新できる仕組みのことです。更新したい箇所が多いほど設定の手間が増えます。

コンテンツ項目(原稿・写真撮影・図解・校正)

成果を分けるのは、実はこのコンテンツ項目です。
ページ構成が同じでも、原稿の質や写真の印象で患者が抱く信頼感は大きく変わり、図解や症状説明は、患者の理解を助けてページからの離脱を抑える役割を持ちます。反対にここを削りすぎると、見た目は整っていても「この病院に行きたい」と思わせる説得力が弱くなりがちなので注意が必要です。

見積書の要注意サイン(『一式』『内容未記載』『回数制限』)

見積書でよく出てくる書き方が「一式」です。

「一式」という表記そのものが悪いわけではありません。一式記載でも作業範囲がわかるのであればOKです。
問題なのは、一式のまま着手して、後から追加課金ポイントが次々に出てくるケースです。先に線引きをしておけば、制作費用が想定外に膨らむことを防ぎやすくなります。
一式を分解して妥当性を判定する手順はシンプルで、まず一式の中身を「成果物」と「作業」に分けて書き出してもらい、次に無料での修正回数の上限(超過した場合の単価)・追加ページの単価・撮影延長の単価を確認し、最後に納品物(データ・権利・操作マニュアル)を明記してもらうという流れです。

“一式”を分解して妥当性を判定するチェック手順

1.一式の中身を「成果物」と「作業」に分けて書き出します。

2.無料での修正回数の上限(修正超過単価)、追加ページ単価、撮影延長単価を確認します。

3.納品物(データ・権利・マニュアル)を明記してもらいます。

見積書の危険サイン(チェック用)

☐ 「一式」が多く、作業範囲の記載がない
☐ 修正回数の上限が小さく、超過単価が不明
☐ 納品物や権利、移管(他社へ引き継ぐための引き渡し)条件が未記載
☐ 月額保守が「金額のみ」で、対応内容が書かれていない

見積もりを受け取ったら、次の表にある質問を項目ごとにぶつけてみると、各社を同じ目線で比較しやすくなります。専門知識がなくてもそのまま制作会社に聞ける形にしてありますので、メールや打ち合わせの場でそのまま活用できます。

見積項目ここを確認制作会社にこう聞いてみるここが追加費用になりやすい
ディレクション
(制作の取りまとめ)
打ち合わせや進行管理をどこまでやってくれるか「打ち合わせは何回まで含まれていますか?途中で”やっぱりここも変えたい”となった場合、追加料金はかかりますか?」打ち合わせ回数の超過、途中の要望追加
デザインどこまでオリジナルで作ってくれるか「デザインは一から作ってもらえますか?それともひな型(テンプレート)ベースですか?完成イメージの確認は何回までできますか?」デザイン案の追加提出
CMS
(WordPress等の更新の仕組み)
公開後に院内で自分たちが触れる範囲「公開後、お知らせの追加や写真の差し替えは院内のスタッフでもできますか?操作マニュアルはもらえますか?」更新できるページ種類の追加
原稿
(HPに載せる文章)
文章をどちらが用意するか、表現チェックはあるか「文章はどちらが用意しますか?”治療実績No.1″のような法律上書いてはいけない表現のチェックは含まれますか?」修正回数の超過、専門家による確認
写真撮影撮影の枚数・時間・撮り直しの扱い「撮影は何枚くらい、何時間の想定ですか?撮り直しが必要になった場合、追加料金はかかりますか?写真データはこちらでももらえますか?」撮影時間の延長、撮り直し
保守・運用
(公開後のサポート)
公開後のサポート内容と範囲「公開後に”ここを直してほしい”というお願いは月に何回までできますか?夜間や休日にサイトが見られなくなった場合はどうなりますか?」夜間・休日の対応、月の修正回数の超過

公開後にかかる月額・運用コスト

クリニックのHP制作費用は、初期費用だけでなく公開後に積み上がる月額費用(保守費用等)も含めて見ることが大切です。
ここを見落とすと数年後に「安かったはずが結果的に高くついた」という状態になりかねません。

保守費用(更新代行・軽微修正・バックアップ・障害対応)

月額が安いプランほど、「含まれる範囲」が狭いことは多いです。
更新回数・対応時間・緊急対応の有無を数値で確認すると比較しやすくなるので、次のような点を押さえておくとよいです。

・月に何回まで更新できるか(回数制限の有無)
・軽微な修正はどの程度まで可能か(修正可能な範囲)
・対応時間(平日何時まで対応か、緊急対応はあるか)
・バックアップ(データの控えを取ること)の頻度と、復旧の手順
・WordPressやプラグイン(機能を追加する拡張パーツ)の更新は誰が担当するか
区分月額の目安チェックしたい点
保守更新代行、軽微修正1〜5万円回数・時間・緊急対応

HP制作会社を選ぶ上でのポイント

制作会社は、価格よりも「医療への理解」「契約の透明性」で選ぶと失敗しにくいです。
HP制作にあたってクリニック側はどうしても専門外になるわけですから、クリニックHP制作への理解がある会社ほど、院長が想定できていなかった提案をしてくれたり、医療広告ガイドラインに配慮した内容にしてくれたりと、スムーズな制作につながりやすくなります。

また、ホームページは作って終わりではなく、その後の運用まで信頼できるかどうか、そして制作から運用に至るまでの「契約の透明性」が非常に重要なポイントになります。

①できるだけ医療HP作成への理解がある先を選ぶ

制作会社がクリニックのHP制作をどれだけ理解しているかを見極める上で、わかりやすい判断材料のひとつが医療広告ガイドライン(医療機関の広告表現に関する国のルール)への対応力です。

クリニックのHPは、飲食店や美容院のHPとは事情が違います。たとえば「治療実績No.1」「必ず治ります」といった表現は、一般的な業界であれば多少の誇張で済むかもしれませんが、医療の世界ではガイドライン上、使ってはいけない表現にあたります。こうした医療特有のルールを理解している制作会社であれば、院長がわざわざ指摘しなくても、制作の段階で「この表現は使えません」「こういう書き方なら問題ありません」と提案してくれます。逆にこのあたりの知識が薄い会社だと、院長自身が表現をひとつひとつ確認する負担が増え、さらに気づかないまま問題のある表現で公開してしまうリスクも出てきます。

もうひとつ見落とされがちなのが、公開後の更新時です。制作段階では注意していても、日常的にお知らせやコラムを追加していくなかで、意図せず誇張や誤認につながる表現が入り込んでしまうことがあります。クリニックHP制作に理解のある会社であれば、公開後の更新に対しても表現チェックの仕組みや運用ルールを提案してくれることが多いです。

制作会社に確認しておきたいこと

・制作段階で医療広告ガイドラインに沿った表現チェックをしてくれるか
・公開後の更新時にも表現チェックの対応があるか(範囲と回数)
・過去にクリニックのHPを制作した実績があるか

打ち合わせの中でガイドラインの話を制作会社側から持ちかけてくるかどうかも、理解度を測るひとつの目安になります。

②サーバー・ドメインの権限をクリニック側で保有するようにする

まず大前提として、「サーバーの権限」と「ドメインの権限」は、クリニック側で保有しておくことを強くおすすめします。これは後悔しないために非常に重要なポイントです。

用語メモ

サーバー:ホームページのデータを置いておく場所のことです。
ドメイン:「○○-clinic.com」のような、インターネット上の住所にあたる文字列のことです。この2つの権限は、言いかえれば「ホームページ自体の所有権」にあたります。

この権限を自院で持たず制作会社が握っている場合、たとえれば「首根っこを掴まれている状態」になります。

私が実際に知っているケースでは、HPを制作会社に作ってもらい保守運用までそのまま任せていた院長が、3年後に保守の依頼先を変えたくて相談したところ、「サーバーとドメインの権限を渡すのに100万円かかります。払わないならHPは消します」といった対応をされた、という話もあります。

重要ポイント

契約時には「将来の乗り換え」まで想定して、サーバー・ドメインの権限はクリニック側が持てるかどうかを確認しておくことが望ましいです。もし「権限は制作会社が持つ」と言われた場合は、契約は見送ることを検討したほうがよいでしょう。また、納品物(データ一式)と権利の範囲は口頭ではなく書面で明記してもらう形が安全です。

③WordPress(ワードプレス)で設計されているか

クリニックのHPは、よほどこだわりがなければ基本的にWordPress(ワードプレス)で作る会社を選ぶことをおすすめします。
WordPressを簡単に言うと、「専門知識がなくても自分たちで更新しやすく、カスタマイズの柔軟性も高いホームページの仕組み」です。
初めて聞いた方も少なくないかもしれませんが、サイト制作においてはWordPressは非常にメジャーな方法です。
事実、世界全体のサイトのうち4割〜5割程度(全サイトの半数近く)がWordPressで作られているという報告もあります。

WordPressを推奨する理由としては大きく次の3つです。

①公開後に「自分たちで育てやすい」
②制作会社(保守運用会社)を乗り換えやすい
③SEOとの相性がよく、カスタマイズの柔軟性が高い


①公開後に「自分たちで更新しやすい」

クリニックのHPは作って終わりではなく、診療別ページやコラムを増やしながら検索流入を積み上げていくのが集患の基本です。WordPressであれば院内スタッフでも記事の追加や修正ができるので、更新のたびに制作会社へ費用を払う必要がありません。

②制作会社(保守運用会社)を乗り換えやすい

WordPressは世界的に普及しているCMS(コンテンツ管理システム)なので、扱える制作会社やエンジニアが多いです。つまり、万が一いまの制作会社と合わなくなっても、サイトのデータを持って別の会社に移りやすいということです。これが独自CMS(制作会社が独自に作った管理システム)やクローズドなサービスだと、その会社しか仕組みを理解していないため、乗り換え自体が困難になるケースがあります。

③SEOとの相性がよく、カスタマイズの柔軟性が高い

ページ構造の設計やタイトル・見出しの設定、表示速度の改善など、SEO施策と相性のよい仕組みが整っています。
また、プラグイン(機能を追加する拡張パーツ)で機能拡張もしやすいので、予約導線やフォームの追加にも比較的柔軟に対応できます。

一方で、特に「静的サイト」と呼ばれるタイプのHPは、一度作れば基本的には何かを更新するたびにプログラムコードを書く作業が発生し、その都度制作会社に料金を払って依頼することになるケースがあるため注意が必要です。

用語メモ:静的サイトとWordPressの違い

静的サイト:表示が速くセキュリティ面で堅いという長所がありますが、更新のたびに専門的な作業が必要です。

WordPressサイト:自分たちで更新・記事追加がしやすく、SEOでサイトを育てやすい仕組みです。

公開後にほとんど更新しないのであれば静的サイトでもよいかもしれませんが、いまの実情として、更新をほとんどせずに他院に負けない集患力の強いサイトへ育てることはかなり難しいと考えています。
静的サイトにも速度やセキュリティ面の長所はありますが、よほどのこだわりがなければ総合的にはWordPressで作る形が望ましいです。

WordPressの注意点:セキュリティ管理は保守契約でカバーする

一つ注意しておきたいのは、WordPressは普及率が高い分、セキュリティの更新やプラグインの管理を怠ると脆弱性(システムの弱点)が生まれやすいという面もあるということです。
つまり「WordPressで作ること」自体よりも、公開後にWordPress本体やプラグインを誰がどの頻度で更新するのか、ここまで含めて決めておくことが大事です。
保守契約で「WordPress本体とプラグインの更新対応」が含まれているかどうかは、見積もり段階で確認しておくと安心です。

他のサイト構築方法との比較

WordPress以外にも、HPを制作する他のよくある方法としては、先ほど述べた「静的サイト」での作成のほかに、Wixやペライチなどの「ノーコードツール」による作成、その会社ごとの独自の構築システムを使った「独自CMS」による作成があります。
以下にそれぞれの特徴を比較表としてまとめております。

比較項目WordPress静的サイトノーコードツール
(Wix等)
独自CMS
院内での更新しやすさ△(専門作業が必要)△〜◎(管理画面の出来に左右される)
SEOの柔軟性△(コンテンツを増やしにくい)○(基本機能はあるが細かい制御に限界) △〜◎(会社の設計力に依存)
デザインの自由度△(テンプレ中心)○(CMS内の範囲で対応)
制作会社の乗り換え◎(対応できる会社が多い)×(データ持ち出し困難)×(その会社しか触れない)
セキュリティ管理△(定期更新が必要)○(サービス側が管理) △〜◎(会社の対応力に依存)
将来の拡張性△(新機能のたびに開発が必要)△(機能に上限あり)△(会社の対応範囲に限定)

比較していく中では、やはりWordPressが総合的にバランスがよいと考えています。
WordPressは上述したようにセキュリティがどうこう言われることも少なくないですが、実際のところは、保守契約で定期更新を含めておけばカバーできる部分です。

独自CMSとノーコードツールは「制作会社の乗り換え」が×になっている点が共通しており、長期運用の視点で見ると(特に独自CMSにおいては)その会社に依存してしまう構造となるため、何かあった際には比較的リスクがあると言えます。(もちろん契約内容も含め、会社ごとで大きく内容が異なるのが独自CMSでもあるため、一概には言えない部分があり、各社の内容やお話を聞いて比較してみるのも良いかと思います)

保険診療クリニックのHP制作においては、特にこだわりがなければWordPressで設計する会社を選んでおくのが、現時点では手堅い判断と言えます。

失敗しない発注手順|相見積もりの取り方と要件定義(RFP)

発注で失敗を避けるために大切なのは、要件をそろえた相見積もり(複数社から同条件で見積もりを取ること)にすることです。
条件がズレた見積もり比較は、安く見えるほうに引っ張られがちで、後から追加費用が膨らみやすくなります。

要件定義(RFP)で総額が下がる理由

要件を先に整理しておくと、不要な工数が減り、見積もりのばらつきも小さくなります。

用語メモ:RFP(要件定義シート)とは
「こういうホームページを、こういう条件で作ってほしい」とまとめた依頼書のことです。各社に同じRFPを渡すことで、回答を同じ土俵で比較できるようになります。

整理の方法はシンプルで、「必須・できれば・不要」の3段階で仕分けるだけでも比較はかなりやりやすくなります。
特に機能の追加は、段階的に導入できるかを検討すると初期費用を抑えやすくなります。

要件定義テンプレ

目的:認知度向上(新規患者増)/採用強化/分院展開 など
必須ページ:診療案内、医師紹介、当院について、受診の流れ、コラム など
必須機能:予約、問い合わせ
素材:写真素材の有無、原稿を用意できるか
設計:WordPressで作るかどうか(基本的にはWordPressで作る方向性でOK)
デザイン:オリジナルかテンプレートか
サーバー・ドメイン:取得のサポートはあるか
制作中の修正対応:どこまで対応してくれるか
追加ページ:1ページあたりの単価はいくらか
医療広告対応:表現チェックの希望範囲
運用:保守範囲、更新担当、修正の内容と回数
契約:名義、権利、移管条件、解約条件
アクセス解析:GA4(後述)の導入設定はしてくれるか
納品物:データ一式、手順書、各種アカウント

意外と見落としがちの公開前後のチェック

公開前にチェックをしておくことで、機会損失を減らすことができます。予約導線やフォームの不具合は気づきにくいわりに影響が大きいので、少なくとも次の項目は確認しておくと安心です。

・スマホでの表示速度と、予約・電話ボタンの位置を確認する
・フォームの送信テストをして、返信メールが届くところまで確認する
・アクセス解析(GA4:Googleが提供する無料のアクセス分析ツール)と、CV計測(ちゃんとアクセス数などが計測されているか)の設定を確認する
・お知らせやコラム記事を試しに投稿して、問題がないか見ておく
・バックアップと復旧の手順を決め、誰が担当するか明確にしておく

解析の初期設定は、クリニックのアクセス解析(GA4)設定で手順を解説しています。

作って終わりにしない|費用対効果を高める運用

公開後に成果を伸ばすなら、導線と診療別ページを優先することが効果的です。お知らせの更新だけでは検索からの流入が伸びにくく、集患の力が蓄積しにくいためです。患者の検索意図に合わせたページを増やしていくことが、長期的な集患力のカギになります。

集患対策についてはこちらのページで詳しく記載しておりますので、参考にしてみてください。

参考ページ:【徹底解説】保険診療における週患対策について

よくある質問(FAQ)

Q1: クリニックのHP制作は、安いプランでも大丈夫ですか?

テンプレート前提であれば十分に可能です。ただし原稿・写真・導線・保守範囲が不足しやすいので、「最低限ここまでは入れる」という成果物を先に決めておくことが効果的です。特に保守は月額が同じでも中身が違うことがあるため、回数・対応時間・緊急対応まで明記してもらう形が安心です。

Q2: 予約システムはホームページに必須ですか?

必須ではありませんが、電話対応の負荷と患者体験に影響します。SaaS連携であれば初期費用と月額の両方を見た上で、受付の運用が回る形かどうかで判断すると失敗しにくいです。

Q3: 月額の保守費用には何が含まれますか?

更新代行・軽微修正・バックアップ・障害対応などが一般的です。ただし会社によって含まれる範囲が違うため、回数制限・対応時間・緊急時対応の有無は契約前に明記しておくと安心です。

Q4: 医療広告ガイドライン対応で費用は上がりますか?

上がることがあります。表現チェックや監修体制、更新時の運用ルール整備で工数が増えるためです。対応範囲を見積項目として明確にしておくと、後から認識のズレが起きにくくなります。

Q5: 制作会社はどう比較すれば失敗しませんか?

同条件の要件定義(RFP)で相見積もりを取り、保守範囲・権利・追加単価・運用提案の有無を採点表で比較する形が安全です。価格交渉よりも要件整理のほうが総額を下げる効果が大きい、という点も覚えておくと役立ちます。

Q6: 制作期間はどれくらいかかりますか?

最小構成で1〜2カ月、標準的な構成で2〜4カ月が目安です。原稿や写真の準備状況、確認の往復回数で前後します。素材を早めにそろえておくと期間を短くしやすくなります。

まとめ|予算より先に「要件」を決める

クリニックのHP制作費用は、「予算」より先に「要件」を決めることで最適化しやすくなります。必要なものだけを残してムダな工数を削り、その分を公開後の運用に回せるからです。初期費用だけでなく向こう3年にかかる総費用で見ると、総合的に選ぶべきプランが見えやすくなります。

まずは要件を1枚にまとめることから始めると、見積もり比較がぐっと楽になります。要件整理の進め方に迷う場合は、お気軽にご相談ください。

執筆者
濱谷 洸旭
クリニックWeb総合研究所代表/株式会社trendPlus CEO

同志社大学卒。2017年にWeb広告事業にて独立。金融Webメディアを立ち上げ、開設から半年で月間18万PV達成。その後、個人事業から上場プライム企業に至るまで数十社のWeb集客を支援。多くのビッグワードで上位を獲得。2019年に法人化し、株式会社trendPlusを設立。
自身が中小企業診断士の資格を保有しており、専門的なWeb集客の面と総合的な経営面でのサポートができることを強みに持ち、とにかく「結果(成果)」にこだわる支援を行うことを重視している。
2026年に自身のこれまでの知識・経験を活かし、保険診療のクリニック集患に特化した支援サービスである「クリニックWeb総合研究所」を立ち上げる。